彼の体のすきまには、いくつかの、植物の種がくっついていたのです。
そうして、彼の気付かないうちに、
きれいになった大地のうえに、
ひとつ種がおち、
ふたつ種がおち、そしてそれがまた種をつけ・・・・
ゴミなんかじゃない。
この星は、まだ、
いのちがある。
生きている。生きていける。
彼は再び、歩き始めました。
共に笑う友人も、
ほめてくれる家族もだれもいません。
どこかの星の笑い声すら、聞こえてこない静寂の星です。
それでもただ、
自分が清掃ロボットであるというちいさな誇りを胸に、
自分の足跡をたどってくる、ちいさな生命たちのために。
彼は再び、歩き始めたのです。